初島Wハンド

 今年も恒例のダブルハンドレース (運営) です。 いつもどおり本部船は 4時集合、5時にはドックアウト。 ということで、3時に起床してバナナとヨーグルト、ブドウジュースと野菜ジュースの朝食のあとシャワーを浴びて、40分にはやや白んできた東の空にスタタタタと出発しました。
 4時半すぎに全体運営ミーティングをやった後、本部船に移動しマストにクラブ旗とオレンジ旗を掲揚、その他のフラッグやら無線装置など運営キット一式を搭載して 5時にバースを離れました。 というところで Fさんが登場(^^;) 別の岸壁から飛び移ってもらっていよいよ出航です。
 朝は風もなくうねりもなく・・スタート海面に到着した頃はやや靄っていましたが、微妙に南東のブローが見えていました。 アウターを東南東に見る感じで、0.8マイルのスタートラインを設置。 東からも西からもセールの影が集まりはじめたところで洋上エントリー確認を開始しました。 いつもの顔ぶれ (なかには第一回くらいからのなじみ艇)+初参加の艇、同じ艇名でも今年は一回り大きくなって先鋭的になってる艇など・・ ワタシ自身はこのエントリー確認タイムが一番お気に入りなのですワ。 もちろん知ってる艇との挨拶もあれば、知らない艇の方々とも挨拶が出来る訳で、プチ冒険を前にしてちょっぴり緊張感はあるものの、みんなゴキゲンな表情なんですよね。
 さて、スタート前に風が無くなってしまいそうで心配したのですが、10分前くらいには南南東 1〜2mの微風が入ってきました。 練習どおりジャストのタイミングでスタートフラッグ "W" 旗を降下! オールフェアでスッキリです。 ほとんどの艇は 10分くらいでラインを切って西に向かいました。 #エンジントラブルで出航が遅れた "Z号" も30分遅れでスタートしました。 今年は雨の心配は無さそうなのでその点はグッドです。 午後は南〜南西の風が上がってきそうなのでフィニッシュはスピンを揚げてということになりそうです。 やや東に回りつつあるブロー乗って既に先頭集団が靄の中に消えてしまうのを見送りながらアンカーを揚げてハーバーに戻りました。
 もやいをとってもまだ 9時前です。 次のフィニッシュ設定の出航は午後になりそうなので、Sさん Iクンと艇の掃除をすることにしました。 この時期いわゆるトリフン爆弾がデッキ上に多数落ちています。 もはや夏のような日差しの中、Iクンとワタシでホースで水を掛けながらデッキブラシでゴシゴシしました。 Sさんは艇内でビルジを抜きました。 こちらは雨水とエンジンビルジです。 バケツで約 4杯。 ひととおり終わって防波堤の階段を上がると、爽やかな南風は約 3〜4mくらいでしょうか。 海面はきれいにブローに覆われていました。 これはレースには最適な感じですね〜 と話しながらクラブハウスに戻りました。
 ちょっと休憩の後、早めのスタッフ弁当を食べて 12時前に再びクラブハウスに戻るとトップ艇のロールコールが入ったところでした。 その直後から続けてロールコールが入るようになりました。 初島の様子を聞くと既に 15〜20knotの南のブローが来ているようです。 ということで本部船のドックアウトは 13時に決定です。 ちょっと急ぎになりそうなのですぐに艇に戻り、ブルーフラッグと回転灯を設置することにしました。 いったん舫を外した後、出航前にペラに絡んだホンダワラを取ろうということで、いったんクレーンで持ちあげてもらいました。 スタートの帰港時に変な振動があり、スピードも出ない状態でした。 フォア・リバースを繰り返しても外れず意外にがっちりと絡んでしまったみたいでした。
 スッキリしたところでやや遅れて西南西海面に向かいましたが、漁網を抜けて小動沖に出た頃、誰が見たって遥か沖にスピンの影が見えます。 うっひゃ〜です! もしかして?って、やっぱりもしかしてです! マーク傍を抜けて少し沖に出て取り急ぎアンカーをレッコです。 もちろん今回は 90mのアンカーロープを 2本分フル仕様です。 そうこうしてフィニッシュの準備がだいたい整った頃には白いスピンにセールナンバーが肉眼で読めるくらいになりました。 いやいや速いです。 トップは 13時50分48秒ということで、トータル 7時間弱でフィニッシュです。 しかも、ロールコールからは約 2時間です。 ということは平均 10knot強のスピードのスピンランでカッ飛ばしてきた訳ですね。 大ダントツです〜大拍手!
 さてそのあとはおよそ 50分くらい開いてから 2番手以降が続々とフィニッシュして来ました。 この頃には既に風は平均 30knotです。 ちょっと息をしたときに 25knot、ブローでビビビと来たときには 35knotというところでした。 スピンを揚げている艇と揚げていない艇で約半々くらいでしょうか。 それこそ "Wハンド" で二人しか居ない訳で、それなりの練習とスキルが無いと、この風でスピンというのはかなりチャレンジだと思います(^^;)
 ところで南からこのブローが入ると、もちろん波長の長いうねりも伴ってきます。 本部船を設置したあたりで、波長は10mくらい。 波高は1〜1.5mくらい (ピークで2mくらい) でした。 ということは・・ そうです、いくら本部船が 44Ftといっても偉大な波の力にはなす術も無くグラングランと揺れ続けです (涙) 今回ワタシはマストに立って、ほぼ全艇のフィニッシュを確認してフォグホンを鳴らしていたのですが、余ったアンカーロープで足元を固め、サイドステイに掴まりつつマストに体を押し付けつつバランスをとるロデオ状態です。 まだ陽が高いうちから早めにシンチラ、ライジャケ、カッパを着けて体が冷えるのを防ぎましたが、明日は筋肉痛間違いなしです (笑)
:Thanks, Kiwamu先生
 さて、フィニッシュのほうは順調に艇を重ねていき、17時すぎにはほとんどの艇が完走しました。 し・か・し・残りの数艇がまだ初島沖にいるとのことです・・ 西の空は薄曇りになり、太陽もだんだんと傾いていきます。 ちょっぴり夕暮れの水平線を眺め続けてもなかなかセールが見つけられません。 陸上本部に問い合わせたところ、ロールコールも 2時間ちょっと間があったとのことで、19時は過ぎるだろうと本部船もちょっぴりウェイティング状態になりました。
 18時半くらいになり江ノ島灯台も点灯しました。 19時になり本部船も回転灯をオンしました。 フィニッシュマークはちょうど江の島の橋のたもとあたりです。 海岸線沿いの照明もだんだんと明るくなってきました。 19時半すぎにクラブボートが出航してきました。 沖のほうをじっと眺めるとうっすらとマスト灯が揺れているように見えます。 しばらくするとバウの赤灯も含め 3艇が割と近い距離で近づいてくるのが確認できました。 とうとう最終グループの到着です。 クラブボートの探照灯ががアウターのマークを照らします。 レース艇からはくるくる回る黄色い回転灯と、黄色いマークがはっきりと見えることでしょう。
 19時40分過ぎて最終グループをフィニッシュさせた後、いよいよほんとうの最終艇を待ちます。 この時点ではまだマスト灯は視認できません。 あと 1時間以上はあるのでトラブル無く帆走っていればタイムリミットは大丈夫と思われますが・・ と本部船関係者で沖に注目していたところ 20時を過ぎたころほのかなマスト灯を確認することができました。 陸上本部と確認したところ、途中リタイアした艇を除いて、いよいよ最後の 1艇ということです。 だんだん近づいてくる艇のバウがラインに掛かった瞬間 20時16分59秒にブォ〜〜と長くフォグホンを鳴らしてレース終了となりました。
 完走した全艇について本部船の記録は完璧で、陸上本部への無線での連絡も既に完了しました。 エンジンを始動し、回転灯を消灯、アンカーは明日朝引き上げるとしてフェンダーを付けて沖に残し、暗い海をバックに灯り輝く逗子にバウを向けました。 入港ブイ前ではハーバーのボートがエスコートしてくれました。 防波堤を回り込めば微速でも滑るように進みます。 静かに揺れているレース艇の脇を抜けてポンツンに舫った後、陸本サポートメンバーに無線と運営キットなどを預けフラッグを降下しました。 いちおうこれで本部船のタスクは全て完了です。 オーナー含めクルーメンバー一同ホット一息(^^) クラブハウスに戻って簡単なクロージングミーティングのあと、お疲れさま乾杯とスタッフ弁当をいただきました。
 世の中にはいろいろなスポーツがありますが、運営する側も自然と対峙しなくちゃならないというのもヨットならではだなぁと思います。 レースで帆走するのも運営するのも同じ風と波とを相手に一生懸命にがんばってるってことで、これもほかのスポーツでは考えられないヨット競技の不思議な魅力の一つだなぁと思うのです。