船と氷山

 [問題] 毎秒10mで進んでいる船がある地点で進行方向に氷山を見つけたので、汽笛を5秒間鳴らしました。 すると、10秒後に最初の反射音が返ってきました。 次の問いに答えなさい。 ただし音は空気中を毎秒330mで伝わることとします。
[1] 船が氷山を見つけた地点と氷山との距離は何mだったですか。
[2] 氷山から返ってきた音は進んでいる船の上では何秒間聞こえましたか。 小数点第一位まで答えること。
 さあ、結構難しいですよ〜 あっ、そうでもないですか・・(^^;)
 [私の答え]
[1] 船の速度から、音を発した地点から最初の反射音を聞いた地点まで、10秒間で船は100m進む。 最初に音を発した地点から氷山までの距離を X m とすると、音を出した地点から音が最初に届いた地点までの距離は、X+X-100m になる。 この距離は10秒間に音が進んだ距離 (330m/秒x10秒=3300m) に等しいので、2X-100=3300 となる。 よって、X=1700m
[2] 氷山に反射した音は毎秒330mで船に向かってくる。 一方船は毎秒10mで氷山に向かって進むので、反射してきた音と船の相対速度は340m/秒となる。 よって5秒間鳴らされた汽笛は、(330x5)/340=4.853 すなわち、"4.9秒間" 聞こえるこことなる。
 ところがですね・・ [2]が違うんです。 まだこんがらがってるんですけど、回答集による<<正解>>は下記のようになります。
[1] 音が10秒間に進んだ距離は、反射してきた距離も入れて 330x10=3300m、一方船が10秒間に進んだ距離は 10x10=100m。 これは最初に音を発した地点と氷山との往復距離に等しい。 よって、(3300+100)/2=1700m となる。 *ここまでは正解と同じでした。 さて、ここからなんです。
[2] 船が5秒間の汽笛を鳴らし終えた時の船と氷山との距離は 1700-50=1650m である。 鳴らし始めからちょうど5秒後の音が氷山に反射して船に届くまでの往復の時間を Y 秒とすると、330xY+10xY=1650x2 となる。 よって、340xY=3300 Y=9.7秒 すなわち、最後の音 (ちょうど5秒後の音) は汽笛を鳴らし始めてから、5+9.7=14.7 秒後に届く (聞こえる) こととなる。 よって汽笛が聞こえていた時間は 14.7-10=4.7秒間 となる。
 どうですか・・ 速さと時間と距離の関係を絵に描いて "クール" に押さえていくと正解にたどり着けると思います。
#毎秒10mっておよそ20ノットなので、商船とすればちょうどあり得る速さですね。 でも音の速さのほうが圧倒的なので、だいたいはかかった時間の半分に音速を掛ければ対象物との距離となります。 仮に40ノットの速さの船が同じように汽笛を鳴らしたとしても、音速のほうがまだ圧倒的に速い (普通の飛行機より速い訳ですから) ので、実用上は問題なさそうです。
ドップラー効果見たいのが頭に浮かぶと思いますが、音源が移動していたり、聞く側が移動していたりする場合に発現するのは音の周波数 (音色) が変わる現象であって、音の速度は媒体に依存するパラメータなのだということです。 そうじゃないとマッハの壁という話はなくなる訳で・・ ついつい勘違いしちゃいますよね (私だけ? 今回の出典はY谷O塚の問題集でした)