ローズマリー・サトクリフ

 公民館本でここのところハマってます。
 きっかけは『ケルトとローマの息子』原題 "Outcast" (1955) という、いわゆる少年少女文学書 (ただちょっと難しい漢字にルビが振ってあるだけですが)でした。 でも内容的には読み応え充分。 続いてもう一冊『夜明けの風』"Dawn Wind" (1961年)。 さらに続いて読んだのが『アーサー王と円卓の騎士』 The Sword and the Circle" (1979年)-『アーサー王と聖杯の物語』"The Light Beyond the Forest" (1979年)-『アーサー王最後の戦い』"The Road to Camlann" (1981年) となるアーサー王三部作です。
 ちょうど 5〜6世紀ころの英国 (ブリテン島と云うべきか) が舞台の物語が多いようです。 ケルトの国からローマが去ってサクソン系の民族が入り込んできた混乱の時代を題材にしていることが多いのでしょうか。 塩野さんの『ローマ人の物語』では淡々と歴史を追っていたのに対して、サトクリフはまるで横糸斜糸のように物語を展開してくれます。 その時代を背景とした登場人物の心理描写だけでなく、イングランドの情景描写も心引かれる部分です。
 サトクリフの小説には "サンザシ" という植物が訳語でよく出てきますが、調べると原語では "May Flower" "Hawthorn" と呼ぶそうです。 前者はもちろんあの船の名前。 後者は "Hawthorn Suites" という名前でアメリカのホテルチェーンの名前に使われています。 懐かしいですね。 一泊50〜60US$でキッチン付き。 出張などでも何回か利用しました。
 ちょっと横道にそれましたが、このサンザシはイギリスの田園風景の生け垣にもよく使われているそうです。 気が付かなかったなぁ・・・ ネットで調べると『魔法使いの杖』の材料であるとか、Jesusが磔にされた時の冠がサンザシであったとか、いろいろと物語を秘めた植物だと判ります。 こういった知識はサトクリフの小説を原語で小学生のころ読むであろう人たちには当たり前のこととして身に付いているのでしょうね。 まぁ仕方ないことですけれど(^^)