なんだこりゃ〜!!!

 というくらい最高な本がありました。 「無人島に生きる十六人」(昭和23年10月 須川邦彦:2003年に新潮文庫で復刻) うちの娘たちが読んでいた本を割り込みで読ませてもらいました。
 ミッドウェイの近くの「パール・アンド・ハーミーズ礁」で座礁した帆船から命からがら脱出、無人島に上陸してから助かるまでの明治の船乗りたちの、なんとも "心意気" のある実話です。 船長の船長たるリーダーシップは素晴らしく、無人島漂着二日目の朝の運転士、漁業長、水夫長との会話は感動です! 表紙イラストを見たとき子供向けの冒険小説(フィクション)かと思って読み始めたのですが、いやいや細かな描写も確かだし、まさに船乗りが体験したことを船乗りが文章にしたって感じで、ドキドキしながらうれしくなって読み終わりました。
 難破したのは「龍睡丸」76トン、2本マストスクーナー。 明治31年秋に出港した時の乗り組みは: 船長:中川倉吉  運転士:榊原作太郎  漁業長:鈴木孝吉郎  水夫長:井上  報効義会の会員4名:川口雷蔵他3名  練習生2名:浅野、秋田  小笠原島帰化人3名:小笠原島吉老人55歳(フロリスト・ウィリアム)、父島一郎(ハリス・ダヴィッド)、範多銃太郎(ハンター:エドワード・フレデリック)  水夫と漁夫3人:小川、杉田、国後  でした。 実名だろうし、その後も海で活躍したようです。
 漂流にあたって緊急であったけどきちんと準備の指示がされたことがとても重要ですが、北回帰線あたりということで寒くなく、清水の井戸は掘れなかったけどスコールもあり水は確保出来たこと、カメや魚など食べるものも割と豊かだったのが幸運でした。 とにかく最初に決めたモットーが 「一つ、島で手に入るものでくらして行く。 二つ、できない相談をいわないこと。 三つ、規律正しい生活をすること。 四つ、愉快な生活を心がけること。」という何とも民主的?なルールで、16人が気持ちを一つにして無人島生活を充実させていくあたりは本当に読んでいて楽しくなります。
 そこまでの遠方まで航海に出ることは無いかもしれないけれど、自分を含め「海」で時間を過ごすことのある人には最高の一冊。