カヌー式生活という本を読んだ・・今日はちょっとまじめに

akaisan2005-06-24

 野田知佑さんの「カヌー式生活 My Life With Canoe」を読みました。 主に90年代にあちこちの雑誌に寄稿したエッセイを集めて1冊の本にしたものです。 ツーリングカヌーというライフスタイル?を体を張って世間に広めた(認知させた)ビジョナリーです。
 実は野田さんの本を読むのは初めてでした。 名前は知っていたのですが、せいぜい椎名誠の本に出てくる「カヌーを漕いでる怪しいオヤジ」くらいの認識しか持っていませんでした。 しかし読み進めていくと、自分のスタイルを確立したごっついおっさんだな〜という印象に変わりました。 執筆生活、人生そのものがハードボイルド小説のような生き方です。 政官財+民で癒着しまくった末の国土破壊、自然破壊に対して、カヌーという最も平和的なツールでアピールしているわけです。 自然破壊に対しての怒りをペンに託して戦う、正義のカヌーエッセイストというのでしょうか。 その怒りは、自分で"考え、試す"ことを教わらないまま、管理社会の中で内側にばかり不満をつのらせている次の世代に対しても、強いアラームとして発されています。
 野田さんは1938年生まれということなので、もう68歳。 本物のアウトドアで鍛えられた精神と肉体は衰えを知らない・・という感じがしますが、ここいらへんの骨太さは「酒呑童子」の斎藤実さんに近いものがあります。 そういえば斉藤さんも確か71歳で、野田さんとは近い世代です。 こういうオヤジたちって、なかなか魅力的ですよね。
 一件、文中にアメリカの国立公園などで、手付かずの自然を行政が徹底的に保護している・・というようなくだりがありますが、ちょっと気になりました。 もともとアメリカという国は、東部から入植が始まって以来、資本主義の論理で東から西へと徹底的に自然(BaffuloもNative Americanも)を破壊しまくっています。 いま残されている国立公園の多くを見ると、役に立ちそうにも無いほどの山奥とか、険しい最果ての土地だから残っていた・・ということではないかとも思えます。 それに伴い、アメリカにおける国立公園の徹底した自然保護というのは、それまでの環境破壊に対する反省が社会の中で醸成されたからではないかと思います。 日本人が気付くまであと何年かかるのでしょうか。