フェルミン

 "風の影" と云うスペインの作家 (カルロス・ルイス・サフォン) の小説の登場人物です。
 いつもの公民館文庫からなんですけど、じつに不思議な印象の本であり・・・ また、この登場人物 (主人公でなく) が実にいい味を出しているんですよ。 小説の中の人物なので一番の決め手はそのセリフなんですけれど、なんとも良いんですよね。 主人公の少年とのやりとりで恋愛とか人生とか結構語ってくれるんですわ。
「つまり、なにを相手にあたえられるかじゃなくて、どれだけ譲れるかってことが、時にはたいせつなんですよ」
「人生なんて、あっというまにすぎちまう。とくに、生きるに値する時期はなおさらですよ」
「親子の関係というのはね、ちっぽけな、心やさしい、数えきれないほどの嘘のうえに成り立っているんです」
 もちろん小説のプロットやテンポも文句なしで、充分に楽しめるものでした。
 こういうのに当たるから図書室通いはやめられまへん。