しぶき

 「しぶき」という名前の大学ヨット部の部誌があり、最近は新入生に配る目的で毎年この季節に印刷し、広島から全国のOBにも送られて来ます。 かつて昔現役の頃、自分も編集 (といっても当時のOBの手書き原稿の清書^^;) や広告集めに駆り出されたり、文章を載せたこともありました。 そういえばインカレも終わってホッとした昨年暮れに学生から「OBの原稿を書いて欲しい」との電話があり、めんどっちーな〜と思いながら「何書こうかな〜」とキーボードを叩いてたのを思い出しました。 内容的にはこれまでの文章を切り貼りしたようなところもあるのですが、再掲しておこう!っと。<<いくつになってもヨットに乗ろう!>>
 卒業してからもヨットを続けている人ってどれくらいいるのでしょう。 残念ながら私の同期の周辺を見渡しても、一部のOBを除いてほとんど全滅の様相です。 就職したり、結婚したり、はたまた子育てが始まり、学生の時の気楽さは何処へやら、毎日の忙しさに追われ距離も気持ちも海からも遠ざかってしまっているOBが多いようです。
 今回歴史ある「しぶき」の原稿依頼がきたのでしばらく何を書こうか考えていたのですが、卒業後しばらく海から離れてしまったOBの皆さんに、少しでもまたヨットに乗りたくなるような話が書ければいいなと思ってます。
 というのも、私の場合いくつかのラッキーが重なり、45歳になった今でも楽しくヨットに乗り続けられているのです。 特に最近ハリキッているのが「テーザー」という二人乗りのディンギーです。 テーザーというのはスピンもトラッピーズも無いシンプルな艇ですが、軽量でハンドリングの楽なオーストラリア生まれのスピードボートです。
 神奈川県の広報誌に江ノ島ハーバー陸置きの募集が載ったとき、稲毛で活躍中の山床大先輩に相談したところ、「テーザーはええぞ、ほらぁおまえテーザーにせー (広島弁) 」との強いご指導?を受けました。 その日のうちにディーラーに電話したところ「今なら1艇コンテナに間に合います!」と出来すぎたような話しもあり、気が付いたら名前と同じ赤いハルカラーのテーザーを発注。 ちょうど勤続25周年だったので、自分へのプレゼントということにしてしまいました。
 それ以来、春から秋は天気の良い週末になると奥さんや娘と一緒に江ノ島に出掛けて、軽風主体 (笑:これがポイントです!) でチョロチョロ遊んでます。 そして時には奥さんか娘をクルーにしてフリートの練習レースに参加したり、カートップしてあちこちのレガッタへ遠征に出かけたりもするようになりました。 ハーバーに行って日向ぼっこしながらビールを飲んでるだけってこともしばしばあるのですが・・
 さてレースといっても、もちろん昔のように体が機敏?に動く訳ではありません。 でもセールを揚げてシートを引き、ティラーを握ればすぐに体は動くように (なったつもりに) なります。 ハルにあたる波の音や頬にあたる風を感じて、ヒールや揺れをケツに受ければあっという間に記憶が戻ってきます。 どんなレースでもスタートの時やマークラウンディングの時はドキドキものですが、学生の頃と違って廻りも良く見えるので、余裕を持って冷静に走らせることができます。 そんなこんなで、軽風であれば昔の経験とテクニックで成績はそこそこ上位に入れますので、家族親戚一同 (+仲間たち) の尊敬も充分です。
 ディンギーに再び乗り始めた頃で思い出すのは、現役時代私のスキッパーだった大中さんと参加した最初のテーザー全日本選手権です。 昔取った杵柄で、軽風の第一レースで2位という好成績で回りをビビらせました。 しか〜し、二人して年齢を忘れて必死でハイクアウトしたブローのレースでは上マークアプローチタックでとうとう沈!。 結局リタイアしてへとへとになってハーバーに帰ったのですが、20年ぶりのディンギーレースにおじさん達の心は再びジンと熱くなったのでした。
 最近では2005年7月にテーザー協会の仲間とダーウィンで開催された世界選手権に参加しました。 我が家は娘二人と奥さんの妹を連れて、総勢5人で一足先の夏休み家族旅行です。 5月にコンテナの積込みを行い、日本からは10チーム (広大OBチームも3艇:金子さん夫妻チーム、宮本くんチーム、私と奥さんチーム) が出場しました。 今回の大会では阪大OBの田中さん夫妻チームが3位に入るという快挙を成し遂げ、舵誌にも大きく記事が載りました。 実は私も全フリート131艇&10レースの中、第4レース2位、第7レース7位をゲットし、エメラルド色の海で "広大の走り" をアピールすることが出来ました。
 2005年11月の江ノ島インカレでのOB宴会では、柚木さんから「お前ら今の自分があんのは、みなヨット部のおかげじゃけーのー」と挨拶されました。 思えば毎週毎週宇品に通って身に付けたセーリングスキルが今のヨットライフの基礎を形成してくれたんだな〜 と本当に感謝している今日この頃です。
 なかなかメジャーにはならないセーリングですが、生涯スポーツとしてヨット部OBなら年齢に関係なくとても楽しめます。 それどころか今お住まいのご近所でヨットを広める活動だって出来ると思います。 ぜひOB同士で連絡をとって今度の週末は海に、ハーバーに足を運んでみてください。